課題解決へ「できることから」

《17の目標》貧困や温暖化、多様な分野

常磐大・短大学長富田敬子さん

行動変え、次世代につなぐ

 近年、よく耳にするようになった「SDGs」。国連が掲げる「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称だが、詳しく理解している人は多くないだろう。17の目標達成に向け、企業や個人レベルで何ができるのか。国連勤務時代、事務方として指標策定に携わった常磐大・短大学長の富田敬子さんは「気負わずに、それぞれができることから始めてほしい」と呼び掛ける。

 SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられた。30年を達成期限とし、17の目標(ゴール)と169の達成基準(ターゲット)で構成。地球上の「誰一人として取り残さない」ことを理念とする。

 目標は「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「ジェンダー平等を実現しよう」「海の豊かさを守ろう」など、さまざまな分野に及ぶ。

 富田学長は多様な目標について「拡大する貧富の差や政情不安、地球温暖化など、一国では解決できない問題に対する国際社会の強い危機感が背景にあったことを知ってもらいたい」と強調。その上で、「これ以上地球に負荷を与えずに次世代につなぐとの意識が強く打ち出され、課題解決のため一人一人が意識・行動を変えることが求められている」と説明した。

 採択から約7年。「日本でもこれほど話題になるとは思わなかった」としみじみ話す富田学長。一方で「コロナの世界的感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻など、目標に逆行する動きもある。30年までの目標達成は容易ではない」と力を込めた。

 ここ数年、大企業を中心にSDGsに関する取り組みが広がりを見せる一方、具体的に何に取り組んでいいか戸惑う企業も多い。富田学長は「これまでの事業活動や経営方針が、SDGsの目標と符合していることは多い。まずはその関連性の見極めから始めて」とアドバイス。「それを見つけたら広く発信すること。それが、『前向きな未来志向の会社』とのイメージアップにもつながる」と話した。

 同大の学生をはじめとする若者への期待も大きい。「小さいことでも積み重ねると、世の中を動かせる。そのためには自分から考え、主体的に動くことがとても大切」と呼び掛けた。

2022年4月18日掲載