17の目標達成へ、貢献目指す

《自治体の取り組み》県、総合計画と一体的に推進

フードロス削減のため県庁内に設置された無人販売機

 県内の自治体がSDGs(持続可能な開発目標)を意識した取り組みに本腰を入れ始めた。SDGsを前面に掲げた事業などはまだ多くないが、SDGsの全17の目標に沿った事業を展開し、目標達成への貢献を目指す。県も新たな県総合計画(2022~25年度)で、20の政策全てを各目標と関連付け、一体的な推進を図っていく。

 県総合計画の「新しい豊かさ」の項目で1番目に掲げられた政策「質の高い雇用の創出」。成長分野などの企業誘致や産業を支える人材の育成・確保などが盛り込まれ、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のほか、目標4「質の高い教育をみんなに」など五つの目標のアイコンが併記された。

 他の政策も同様で、20の政策を通じて、17の目標全てに貢献できる形だ。中でも、目標4と8に関連するのは計16政策と多く、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は全ての政策に関連付けられた。

 県は、大井川和彦知事の就任後に策定した前総合計画(18~21年度)からSDGsの理念を重要な視点として盛り込み、政策と併せた推進に乗り出した。本年度は、(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)カーボンニュートラルや、フードロス削減などの各事業に力を入れていく。

 県内市町村もSDGsの取り組みを本格化し、新年度予算や総合計画に関連する事業や目標を取り入れたり、企業・団体と提携したりする動きがみられる。背景には人口減少への危機感があり、生き残りを懸けた「持続可能なまちづくり」は共通の課題と言える。

 ほかにも、地方自治体は住民などへの意識啓発や、各ステークホルダーをつなぐ役割を担う。政府が定めたSDGs実施指針は、地方自治体について「SDGsを原動力とした地方創生を推進することが期待されている」としている。

先導役担う

「未来都市」

つくば市・境町

境町が全国自治体に先駆けて導入した自動運転バス

 SDGsの重要性を認識しながらも、具体的にどう取り組んでいいか戸惑う自治体も多いだろう。その中で〝先導役〟を担うのが「SDGs未来都市」だ。内閣府が2018年から優れた取り組みを提案する地方自治体を毎年選定し、県内ではつくば市と境町が選ばれている。

 つくば市は同年6月に未来都市の第1弾に選定され、同9月には「つくば市未来都市計画」を策定した。主な取り組みは「つくば市SDGsパートナーズ」で、市民や企業、大学、研究機関などの個人、団体会員を募り、意見交換やワークショップなどを通じて課題解決を目指していく。

 境町は昨年5月に未来都市に追加選定された。町未来都市計画では、「子育て制度日本一」や質の高い英語教育などを掲げ、全国自治体初となる自動運転バスも活用していく。

 SDGs未来都市はこれまでに全国の124都市が選定されている。

2022年5月17日掲載