《もっと知りたい!②》難民・避難民へ想像膨らます

SDGsへの理解を深めるのに役立つ書籍を国際協力機構筑波センター(JICA筑波)の図書館司書に紹介してもらった。

お薦めする人 JICA筑波図書館 司書 松田ミカさん

 ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、日本に避難してくる人をサポートする自治体などの取り組みが報道されています。難民・避難民支援は、目標16の「平和と公正をすべての人に」に当てはまります。世界の紛争地に思いを巡らせ、私たちにできる支援を考える本を紹介します。

 1冊目は第2次世界大戦中、旧ソ連に従軍した女性たちの目線から戦争を描いた漫画「戦争は女の顔をしていない」(KADOKAWA)。ノーベル文学賞作家のスべトラーナ・アレクシエービッチさんが、元女性兵士500人以上への聞き取りをまとめた原作を小梅けいとさんが漫画化。ウクライナ周辺も舞台です。戦場での経験が淡々と描かれ、リアルな出来事として伝わります。漫画版はイメージがしやすく、中学生にもお薦めです。

 難民を受け入れると、どんな課題に直面するでしょうか―。今泉みね子さんの著書「ようこそ、難民!」(合同出版)は、多くの難民を受け入れてきたドイツでの出来事がつづられています。話は主人公・マックスの小学校にシリア難民の転校生が来たことから始まります。文化的価値観の違いを民間レベルでの交流を深めて乗り越えようとする姿は、日本でも参考になります。

 このほか、武装解除のプロとして活躍する瀬谷ルミ子さんの「職業は武装解除」(朝日新聞出版)と看護師として主に中東へ赴いた白川優子さんの「紛争地の看護師」(小学館)では、紛争地で活動した日本人女性それぞれの体験から実情を知ることができます。難民を受け入れるには、相手の境遇を想像して、共感することが大事な一歩となるでしょう。

 つくば市高野台のJICA筑波にある同図書館は、SDGs関連の資料が充実している。詳細はJICA筑波ホームページや☎029(838)1111。

2022年5月17日掲載