日本では2026年5月時点でサイバー攻撃が前年同月比62%増加し、ランサムウェアの高度化と生成AI悪用による脅威の深刻化が報告されています。
重要ポイント
日本の脅威状況
- 日本の組織は平均週1,869件のサイバー攻撃を受けており、前年同月比62%増加(全調査国中最高)
- 4月比では2,048件から1,869件に減少したが、依然として前年比で大幅増加
ランサムウェア動向
- グローバル全体で前年同月比48%増加(698件)、年間最高成長率
- 日本ではランサムウェアが暗号化から「データ窃取と恐喝」に戦術シフト、短期間での脅迫が特徴
- ビジネスサービス業界が35.1%で最多被害
日本固有の課題
- 生成AI精度向上によるフィッシング攻撃の品質向上(自然な日本語での標的化)
- VPN依存、暗号化通信の可視性不足、ゼロトラスト(Zero Trust)未導入がリスク
- 豊富な情報資産を持ちながら伝統的防御手法に依存
生成AI関連リスク
- エンタープライズ生成AI利用の1/25が機密データを含む(91%の組織に影響)
- 22%のプロンプトに機密情報含有
主要業界の被害状況
- 教育・研究:週4,641件(前年比7%増)
- 政府・軍事:週2,620件
- 通信:週2,583件
詳細
Check Point Research の5月データによると、日本は全調査国中でサイバー攻撃の増加率が最も高く、週平均1,869件という記録的な水準に達しています。前月の4月(週2,048件)から減少していますが、これは一時的な沈静化であり、前年同月比では依然として62%増加という深刻な状況です。
日本の攻撃者が採用している戦略に大きな変化が生じています。従来のランサムウェアは暗号化を主目的としていましたが、現在はデータ窃取と恐喝に重点がシフトしており、攻撃者の対内滞在時間が短縮され、身代金要求の脅迫までのサイクルが急速化しています。これにより、組織の対応能力に対する圧力が急増しています。
生成AI技術の広がりが防御側に不利な状況を作出しています。従来のフィッシング検知は「不自然な日本語」という特徴で判定可能でしたが、生成AIにより自然な日本語での組織文脈に合わせた攻撃が可能になりました。加えて、企業の生成AI利用において、約4%のプロンプトが極めて機密度の高いデータを含んでおり、22%が機密情報を含む状態にあります。
日本組織に共通する防御上の弱点が指摘されています。VPN への過度な依存、暗号化通信(TLS/SSL)の可視性と検査能力の不足、Zero Trust セキュリティ実装の遅延が、攻撃者に利用されやすいアーキテクチャとなっています。グローバルデータでは暗号化通信内に87%の脅威が潜伏していることが報告されており、日本企業の「traditional な防御方法への執着」が新種脅威に対する対抗能力を大きく低下させています。
金融庁が暗号資産交換業者向けのサイバーセキュリティ強化方針を公表し、防衛省でもサイバーセキュリティ政策体制が強化されるなど、政府レベルでの対応が進められています。
日本組織が豊富な情報資産を保有しながら極めて脆弱な状態にあるため、多層防御とくに暗号化通信の可視性・検査、Zero Trust実装、高リスクセッションの隔離、および自動化と可視性の強化が2026年における防御の必須要件とされています。