第6回こども新聞サミット/森保監督、書面インタビュー(全文)
「茨城こども新聞」も参加した「理想の学校」チームは、サッカー日本代表の森保一監督にも取材。書面で答えてもらいました!紙面で紹介しきれなかった全文を公開します!
①気持ちが折れそうになったときにどうやって気持ちを奮い立たせましたか? 《森保》 原理原則に立ち返るということを行っています。 「自分たちは今何を目指しているのか」「自分たちは今、何をやろうとしているのか」を振り返るようにしています。 苦しいとき、辛いときはどうしても今起きていることに対して感情が向かってしまいますが、一度落ち着いて自分たちがやるべきこと、やろうとしていることを確認するということをやっています。 結果にとらわれず、成功した自分も成功しなかったときの自分も認めてあげてください、今の自分を認めてほしい。そこから成長する自分になってください。私もできなかった部分を受け止めて、次につなげられるように振り返っています。皆さんも苦境に立ったときに自分を責め過ぎないでください。ここまで頑張った自分を認めてあげて、今の自分から常に成長をし続けられるように取り組んでください。 ②理想のチームとはどんなチームだとお考えですか。チームづくりのために日々努力していることはなんですか。 《森保》一人ひとりが仲間のために、組織のために自分の持てる力を全て出し、目標とする結果を出すチーム。そしてその結果がひとりひとりの成長につながっているというサイクルを作り出せるようにする。またその逆でそれぞれが努力して自分の特長を伸ばすことによって、チーム、組織の和が大きくなるようにも促す。個から組織、組織から個の両方の観点からチームが成長できるように取り組んでいます。 ③どのようにチームのルールを決めていますか? 《森保》どのような組織でもひとりで全てをやることはできません。必ず周りに仲間や支えてくれる人がいてくれて、目標達成に向かって日々努力をしています。その中で周りにいる方々を尊重し、お互いのことを思いやれる環境になるようにしています。 ④チームで大切にしているルールは何ですか? 《森保》具体的なことを挙げるならば「時間を守る」「問題が起きたときは向き合い、自分たちで解決する」「SNSの発信で仲間が傷つかない、嫌な思いをしないように」といったシンプルなものになります。 日本代表だから特別ということはなく、皆さんが通っている学校のクラスや習いごとでも同じことだと思います。集団で活動をする中で関わる方々が気持ちよく、やるべきことに集中できる環境を作ること、仲間が嫌な思いをしないように考えることが必要だと思います。仲間、支えてくれる方々を尊重することが大切です。 ⑤ワールドカップでカタールに着いたとき、どんな気持ちになりましたか。また。どのような思いで選手たちと試合に臨みましたか。 《森保》カタールについたときはこれからの戦いを想像したときにワクワクした気持ちになりました。選手たちが試合までに最高の準備してくれたので、自信を持って勝つために思い切ってプレーしようと話しました。 ⑥森保さんが今からでも通いたい学校は、どんな学校ですか。 《森保》語学を学べる学校。外国語を話せれば世界中の人たちとコミュニケーションを取れることをサッカーの活動を通して知りました。いろいろな国の人とコミュニケーションを取ることの楽しさ、多様な価値観を知る楽しさに繋げられるからです。世界の多様な価値観を知った上で日本の価値観を知ること、違いを分かることは大切と思います。 ⑦選手とのコミュニケーションをとる上で大切にしていることは何ですか? 《森保》相手の価値観、考え方もしっかりと尊重することは心掛けています。 監督と選手と聞くと、皆さんは監督が上で、選手が下という印象を持たれるかもしれません。そういう立場で指導される方もいらっしゃいますが、私は選手たちとコミュニケーションを取り、選手たちがやりたいこと、やろうとしていることを聞き、私がやりたいこと、やろうとしていることも伝えます。この会話の中でお互いに気づいていなかった部分が出てくることもあり、そうしたことも反映させてお互いに納得できる方法を設定するようにしています。 そのプロセスを経て決定したことについては、みんなで100%取り組むということでコミュニケーションを取っています。 ⑧ワールドカップのドイツ戦とスペイン戦は前半に先制されてしまいましたが、ハーフタイムにどんなことを考えていたのですか? 《森保》まずは前半続けてくれた我慢強くプレーしてきたことを讃えて、そして自信を持って勇気を持って後半にも臨めるようにと考えました。 相手が次にどのように動いてくるのか、自分たちはどのように動くべきか、当初設定したプラン通りでいいのか、変えた方がいいのか。選手たちに疲れはないか、怪我をしていないか、様々な情報を集めて、最善の形でチームをピッチへ送り出し、勝利と言う結果を掴み取るためには、ということを常に考えています。 ⑨数字やものを管理するのと違い、感情のある人間だからこそ動かしたり、まとめることが大変だと思います。日本代表監督としてスタッフや選手をまとめるのに心がけていることを教えてください。 《森保》相手を尊重することだと思います。 相手の考えや意図を聞かないまま、私の考えや思いで物事を前に進めること、指示を出すことは人間を相手にしているとは思いません。 感情のある人間を相手にするということは相手の感情にもしっかりと対応をした上で、監督として判断を下さなくてはいけません。 いつでも、誰とでもお互いの考えを確認し合い、お互いが納得する形を見つけるということが必要だと思います。 ⑩逆境を乗りこえる力は何だと考えますか。 《森保》今、自分が置かれている状況でベストを尽くすということだと思います。 そのためには普段から自分がどれだけの準備をしているか、良い準備をして、自信を持って物事に取り組み、ベストを尽くすことで乗り越えていく力が身に付いていくと思います。 逆境だと思わないこと、物事をポジティブに変換していくことは大切だと思います。逆境も「ここからは上に向かっていくだけ」と思い、行動を起こすことができれば、いろいろなことをプラスに考えられるのではないでしょうか。 日本代表もアウェイの遠征やコロナ禍のときはいろいろなことが起きました。そのとき私は「想定外も想定内として準備しよう」ということを選手、スタッフに伝えました。なにか不測の事態が起きた時に「あぁダメだ、どうしよう」と考えること、行動することを止めてしまうのではなく、「こういうこともあるね、だったらこうしてみよう」と考えられるような立ち位置を意識するようにしました。そのおかげでどんな状況になってもチーム一丸となって、乗り越えることができたと思っています。 【番外編】 監督はサッカー中心の生活のようですが、オフの日は何をしていますか? 《森保》家で家族とゆっくりしています。犬の散歩に行くことも楽しみにしています。 ただ。オフでもやはり試合が気になってチェックしてしまいます。